パニック障害
パニック障害とは
パニック障害とは、S,フロイトの提唱した不安神経症の一部と考えられてきましたが、1980年に独立した疾患であると認められました。本質的な病像は、いかなる特別な状況あるいは環境的背景にも限定されずに予知することができない反復性の重篤な不安(パニック)発作です。
疫学
生涯有病率は1,5~3,5%と頻度が高い疾患であります。そして性別では女性が男性の2~3倍と多く、発症年齢は20歳代前半多く、女性では40~50歳代にも発症するものも少なくありません。他国や人種にも差異はないといわれています。
成因
パニック発作の原因ですが 特徴として高い頻度で遺伝的関与が認められております。また。神経伝達物質であるセロトニン、ノルアドレナリン、ベンゾジアゼピン、GABAなどの関与が脳機能障害と考えられています。一方心理・社会的要因として、種々のストレスが発症や症状・経過にも影響していることも事実であり現在のところ遺伝負因を基礎に、何らかのストレスをきっかけに発症し、脳機能障害によって症状が発現すると考えられています。
症状(DSM-IV-TRより)
- 動悸、心悸亢進、または脈拍の増加
- 発汗
- 身震いまたは震え
- 息切れ感または息苦しさ
- 窒息感
- 胸痛または胸部の不快感
- 悪心または腹部の不快感
- めまい感、ふらつく感じ、頭が軽くなる感じ、または気が遠くなる感じ
- 現実感消失または離人症状
- コントロールを失うことに対する、または気が狂うことに対する恐怖
- 死ぬことに対する恐怖
- 感覚(感覚麻痺またはうずき感)
- 冷感または熱感
以上の中から4つ以上、月に4回以上起こるものとされています。 また、予期不安(また起こるのではないかと不安に思うこと)はパニック発作に対する不安であり4週以上続くことが診断基準になっています。
治療
パニック障害の治療には大きく分け薬物療法と認知行動療法、心理療法などがあります。
薬物療法
薬物療法ではSSRIs(セロトニン再取り込阻害薬)などの抗うつ薬やベンゾジアゼピンなどの抗不安薬が用いられる。使用方法として抗うつ薬を規則的に服用し、発作時に抗不安薬を使うのが世界的には一般的ですが日本ではベンゾジアゼピンとの併用も認められています。
認知行動療法
認知行動療法は破壊的認知と呼ばれる特徴的な認知の歪みを修正し不安時に対処できる方法を身に着け暴露療法で不安場面に臨み耐える訓練をし、自ら自信をつけていくものです。
心理療法
心理療法は重要なポイントの一つであり患者、家族に疾患について詳しくい説明し、彼らの理解が向上するように努める。そして、受容と共感を示し、時に保証と励ましを交え治療関係を深めていきます。
そしてこれらを組み合わせて行うと治療効果は高くなります。
最後に
パニック発作は治まったものの、予期不安がしばらく残ることがあります。しかし、予期不安にとらわれ、焦りが出てくると、返って治療を伸ばすこともあります。ここで焦らず治療を行えば早く症状が軽快するといわれています。まずは早めの受診をお勧め致します。